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ヨーロッパ中世政治思想
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開始行:
*このページの説明 [#ha4b020d]
~公式の問題13問(過去問8問、教科書の研究課題5問)に回答しま...
*目次 [#d81c1579]
#contents
*2018年4月試験 [#c5426fe4]
~公会議運動において展開された憲法的なドクトリンについて答...
**要点 [#j3e9b2c1]
-公会議運動
--キリスト教徒全体を代表する公会議が、ローマ教皇の権力を...
-公会議運動の憲法的問題
++教皇の同意なくして、公会議はいかに招集できるのか
---会議を招集できるのは、最も権威のある者である
++公会議は教皇に優越するどのような権威を持っているのか
---公会議が優越していないと、教皇の権利を封殺できない
-解決方法→憲法的なドクトリン
++教会全体は、ローマ教皇に優越する
++教会全体は、公会議によって代表される
--以上の2つから、公会議は究極的な権威を持つ教会の代表とみ...
-ドクトリンの帰結→代表理論
--公会議に各地のキリスト教徒が代表を送り、基本的な問題を...
**解答例 [#w86d8f7c]
~公会議運動とは、14世紀から15世紀にかけて行われた、キリス...
~公会議運動には憲法的な問題が二つあった。一つは、教皇の同...
~そこで公会議運動では、二つのドクトリンが提唱された。一つ...
~これらドクトリンの帰結として、代表理論というものが出来上...
~(617文字)
*2018年7月試験 [#cd2311b8]
~ピピンのクーデターのヨーロッパ中世政治思想における意味を...
** 要点 [#d8b70b14]
-出来事
--751年、フランク王国の宮宰ピピンが、王チルデリッヒ3世を...
--この際、ローマ教皇ザカリアスに「いずれが王冠を被るべき...
-背景
--フランク王国の衰退
---「血のカリスマ」によって王が未成年のため、リーダーシッ...
--人々がローマ・カトリックを信仰するようになった
-意味
--政治権力の正当化原理を、ゲルマン神話からローマ教会のキ...
--同時に、政治的紛争の調停者としてのローマ教皇が誕生した
** 解答例 [#s94bc404]
~ピピンのクーデターとは、フランク王国の宮宰ピピンが、751...
~当時のメロヴィンガ朝フランク王国は、ゲルマン神話に基づく...
~ピピンは、クーデターを起こすにあたって、ゲルマン神話とは...
~ピピンのクーデターは、血のカリスマから官職カリスマへの転...
~以上をまとめると、ピピンのクーデターのヨーロッパ中世政治...
~(816文字)
*2018年10月試験 [#dbc070f5]
~「王は上位者を認めない」という命題について答える問題。
** 要点 [#u191f589]
-12-13世紀ごろに教会法学者とローマ法学者が主張した命題で...
--王が皇帝に従属していないということ。
--封建王政が絶対王政へと発展する礎となる思想
-王(レックス)と皇帝(イムペラトール)の関係
--皇帝とは、(西ヨーロッパ)世界全体の政治的主権者で、普...
--王とは、地方部族の首領が皇帝によって統治の権限を与えら...
-「王は上位者を認めない」ということの効果
--合理性 = 政治的正当性の主張の必要性
--普遍的な権威(皇帝)に依存することなく、自己の政治的正...
--特殊である封建王政が、普遍である皇帝に対抗し、自分自身...
** 解答例 [#nec63d0d]
~「王は上位者を認めない」という命題は、12-13世紀ごろに教...
~王(レックス)と皇帝(イムペラトール)という概念は、ローマ...
~政治を行うためには、正当性の主張が必要である。被支配者が...
~「王は上位者を認めない」という命題は、普遍的な権威(皇帝...
~(735字)
* 2019年1月試験 [#g2bfd2fe]
~新プラトン哲学の霊肉二元論がヨーロッパ中世政治思想に及ぼ...
** 要点 [#p4252c67]
-霊肉二元論とは
--霊魂と肉体、精神と物質という形で存在をとらえるやり方の...
--霊魂>肉体、精神>物質である、という不等号が思想に含ま...
-政治思想への適用
--霊魂代表の教会・教皇>肉体代表の帝国・皇帝という帰結に...
--社会教説…世俗支配者よりも聖職者たちが優越した地位にいる...
--トマス・アクィナスの目的論的なキリスト教的存在論により...
---このような秩序にいること=最大・最高の価値であると解釈...
** 解答例 [#gef28f82]
~霊肉二元論とは、霊魂と肉体、精神と物質という形で存在を捉...
~中世ヨーロッパ政治思想においては、霊魂・精神の代表は教会...
~社会教説と結びついたのが、トマス・アクィナスの展開した、...
~社会教説とトマスの論理を組み合わせると、神に近い存在=聖...
~以上のように、霊肉二元論は普遍性ということをヨーロッパ中...
~(584字)
*2019年4月試験 [#t9a5f6ab]
~アリストテレス哲学の受容がヨーロッパ中世政治思想に対して...
** 要点 [#ef8afb0e]
-アリストテレス哲学=目的論的存在論
--物事の存在意義と目的は、上位の事物の目的に奉仕すること...
-トマス・アクィナス以前→アウグスティヌス
--人間社会は人間の原罪の結果である
---現世はすべて負の価値(無意味・無価値)である
--理性は劣った存在
--神的秩序と自然的秩序に断絶があった
-トマス・アクィナス
--アリストテレス哲学の形而上学を換骨奪胎し、キリスト教的...
--存在の究極目的を神とした
--自然的秩序と神的秩序が連続し、アウグスティヌスのテーゼ...
--「恩寵は自然を破壊せず、むしろ完成する」→自然が神の恩恵...
--理性が地位を復活、神に近づくための道具になった
** 解答例 [#na5843a0]
~アリストテレス哲学はトマス・アクィナスによって受容され、...
~目的論的存在論とは、物事の存在意義と目的は上位の事物の目...
~トマス以前のキリスト教的社会観は、アウグスティヌスの神学...
~トマスはアリストテレス哲学を利用して、人間界と神の間の断...
~自然と神が連続することで、理性の地位も大きく変わることに...
~(668字)
*2019年7月試験 [#qe612080]
~「血のカリスマ」と「官職カリスマ」がヨーロッパ中世政治思...
** 要点 [#n7a136ba]
-カリスマ支配とは
--神が特定の人物に与えた特別な才能・有徳性=神聖性に対す...
--ex)アメリカ大統領制
-血のカリスマとは
--支配者およびその家族たちの間に、被支配者とは違う神聖な...
--「支配者としての特別の血統がある」という考え方なので、...
--ex)徳川将軍家の正統性
-官職カリスマとは
--人間個人ではなく、職位そのものにカリスマがあるという考...
--ex)ペテロの座
---ローマ教皇は、キリストの第一弟子たるペテロの後継者であ...
-何故両者が重要か
--政治権力の正当性が何から付与されるのかという問題に答え...
--751年のピピンのクーデターにおいて、血のカリスマが官職カ...
** 解答例 [#n805f1cd]
~カリスマとは、神が特定の人物に与えた特別な才能・有徳性の...
~血のカリスマとは、支配者およびその家族たちの間に、被支配...
~官職カリスマとは、人間個人ではなく、職位そのものにカリス...
~両者がヨーロッパ中世政治思想の理解において重要なのは、政...
(692字)
*2019年10月試験 [#p2b3c59d]
~『平和の擁護者』(1324)について答える問題。
** 要点 [#e8caf38b]
-マルシリオ・パードヴァによる政治理論書。
-目的
--ローマ教皇の権利を基礎づけている思想的原理を根底から破...
-内容
--アリストテレス政治哲学がベース
--集団は、人間に内在する自然的本性が現実化することによっ...
--人々は、正義に裏打ちされた法律によって秩序維持をするた...
--以上の議論にキリスト教は一切登場しない・必要ないので、...
-意義
--中世の伝統である自然法・神法の法的拘束力が否定された。
--宗教的権威に依存する必要のない政治団体のあり方の基礎を...
** 解答例 [#f1b0b115]
*2020年4月試験 [#i4d3b107]
~破門がヨーロッパ中世において有した意味を、具体例を上げつ...
** 要点 [#e477cd76]
-破門とは
--ローマ教会の典礼と信仰の交わりから追い出すこと。
--主に、ローマ教皇が皇帝に対る戦略的カードとしての意義が...
-破門が大変なことである理由
--前提として、中世ヨーロッパはレスプブリカ・クリスティア...
--キリスト教徒であることによって、社会の正規の構成メンバ...
--破門されると、人間としての交わりからも締め出されるため...
---たとえ破門された人間を殺しても、罪に問われない。
-実例→カノッサの屈辱
--ドイツ皇帝ハインリッヒ4世がローマ教皇グレゴリウス7世と...
--両者の叙任権闘争(聖職者を任命する権利をめぐる争い)に...
--破門に効果があるということは、11世紀後半にはキリスト教...
** 解答例 [#e316404d]
*研究課題1 [#l7b859bc]
~日本人が「ヨーロッパ」から何を学び、「ヨーロッパ文化」か...
** 要点 [#ia18f1f9]
-キリスト教とギリシア哲学との関係
--合理性の発展→神学
-二つの権威
--対立と構造化
--歴史と正当化理論
-非連続の中に連続があること(?)
** 解答例 [#xe7893db]
*研究課題2 [#e6f3023a]
~ヨーロッパ中世では政治権力の正当化がどのように行われたか...
** 要点 [#n310a9fa]
-なぜ政治権力の正当化が必要か
--暴力による支配はコストがかかる
--コストを少なくするには、正当性が必要
-正当化の三類型
--合法的支配、伝統的支配、カリスマ的支配
--ヨーロッパ中世の正当化は主にカリスマ的支配
-ヨーロッパ中世のカリスマ的支配の二類型
--血のカリスマ
---ゲルマン神話など
--官職カリスマ
---ヨーロッパ中世の正当化は主にこれ
---ペテロの座とローマ教皇
---合理性と普遍性の追求
** 解答例 [#u201608c]
*研究課題3 [#jf257290]
~中世における「イムペリウム」と「サケルドティウム」の関係...
** 要点 [#b4a8c94f]
-イムぺリウムとは
--帝権、すなわちローマ帝国の政治的、法的遺産のこと。
-サケルドティウムとは
--ローマ帝国の聖職者階級や聖職者団のこと。
-レスプブリカ・クリスティアーナ
--ヨーロッパ全体を包括するキリスト教共同体のこと。
--レスプブリカ・クリスティアーナが楕円形をしているとする...
-両者は機能は違うが、魂の救済という目的は同一
--各々がどのような機能を果たすかが問題となり、対立した→管...
--ex)叙任権闘争
---サケルドティウムが霊的問題を、イムペリウムが現世的問題...
-合理性の発展
--イムペリウムとサケルドティウムは共通の価値観=聖書の解...
--相手の同意を得るためには論理的な解釈をもって説得しなく...
--二者の解釈による争いを通じて、論理性・合理性が発展した
** 解答例 [#v6f88510]
*研究課題4(省略) [#la3923a1]
~アリストテレス政治哲学が中世政治思想に与えた影響について...
~※→[[2019年4月試験:http://keio.rokujo.org/?%E3%83%A8%E3%8...
*研究課題5 [#f55f523c]
~封建王制は、自己の支配権力をどのように正当化していったか...
~※[[2018年10月試験:http://keio.rokujo.org/?%E3%83%A8%E3%8...
** 要点 [#oa2e4da2]
-背景
--封建王制の権力の根拠は、皇帝に依存していた
--封建王制がそれ自体で持つ、権力の正当性が必要とされた
-二つの命題
--12-13世紀ごろに教会法学者とローマ法学者が主張
--「王はその王国内において皇帝である」
---王は王国内では皇帝と同様、立法者かつ最高の権力者である...
--「王は上位者を認めない」
---王国内においては、王に対して命令する権威や権力は存在し...
--2つの命題を主張することで、他の権力によらない政治的正当...
** 解答例 [#t359fdf1]
*研究課題6 [#tc1d148c]
~ヨーロッパ中世の終わりの政治思想的意味を答えよ。
** 要点 [#p393fefe]
-中世の終わりとは
--「レスプブリカ・クリスティアーナ」すなわちローマ教会と...
--「一つの信仰、一つの宗教、一つの頭」という前提がなくな...
--公会議運動を端緒とし、宗教改革が達成されたとき完全に終...
---公会議運動においては「一つの頭」が崩れ、宗教改革で他の...
-中世の終わりの背景
--公会議運動→政治的動揺(アヴィニヨン捕囚)によって、教皇...
--宗教改革→公会議運動を反省したローマ教皇が政治的・財政的...
---キリスト教を世俗から解放しよう(純粋な宗教にしよう)と...
-中世の終わりの意味
--宗教と政治が区別され、分離されるようになった
--ヨーロッパ人が最も信仰を求める時代が訪れた
---信仰の問題が政治の問題よりも重要であるという時代(コン...
** 解答例 [#v9af2459]
終了行:
*このページの説明 [#ha4b020d]
~公式の問題13問(過去問8問、教科書の研究課題5問)に回答しま...
*目次 [#d81c1579]
#contents
*2018年4月試験 [#c5426fe4]
~公会議運動において展開された憲法的なドクトリンについて答...
**要点 [#j3e9b2c1]
-公会議運動
--キリスト教徒全体を代表する公会議が、ローマ教皇の権力を...
-公会議運動の憲法的問題
++教皇の同意なくして、公会議はいかに招集できるのか
---会議を招集できるのは、最も権威のある者である
++公会議は教皇に優越するどのような権威を持っているのか
---公会議が優越していないと、教皇の権利を封殺できない
-解決方法→憲法的なドクトリン
++教会全体は、ローマ教皇に優越する
++教会全体は、公会議によって代表される
--以上の2つから、公会議は究極的な権威を持つ教会の代表とみ...
-ドクトリンの帰結→代表理論
--公会議に各地のキリスト教徒が代表を送り、基本的な問題を...
**解答例 [#w86d8f7c]
~公会議運動とは、14世紀から15世紀にかけて行われた、キリス...
~公会議運動には憲法的な問題が二つあった。一つは、教皇の同...
~そこで公会議運動では、二つのドクトリンが提唱された。一つ...
~これらドクトリンの帰結として、代表理論というものが出来上...
~(617文字)
*2018年7月試験 [#cd2311b8]
~ピピンのクーデターのヨーロッパ中世政治思想における意味を...
** 要点 [#d8b70b14]
-出来事
--751年、フランク王国の宮宰ピピンが、王チルデリッヒ3世を...
--この際、ローマ教皇ザカリアスに「いずれが王冠を被るべき...
-背景
--フランク王国の衰退
---「血のカリスマ」によって王が未成年のため、リーダーシッ...
--人々がローマ・カトリックを信仰するようになった
-意味
--政治権力の正当化原理を、ゲルマン神話からローマ教会のキ...
--同時に、政治的紛争の調停者としてのローマ教皇が誕生した
** 解答例 [#s94bc404]
~ピピンのクーデターとは、フランク王国の宮宰ピピンが、751...
~当時のメロヴィンガ朝フランク王国は、ゲルマン神話に基づく...
~ピピンは、クーデターを起こすにあたって、ゲルマン神話とは...
~ピピンのクーデターは、血のカリスマから官職カリスマへの転...
~以上をまとめると、ピピンのクーデターのヨーロッパ中世政治...
~(816文字)
*2018年10月試験 [#dbc070f5]
~「王は上位者を認めない」という命題について答える問題。
** 要点 [#u191f589]
-12-13世紀ごろに教会法学者とローマ法学者が主張した命題で...
--王が皇帝に従属していないということ。
--封建王政が絶対王政へと発展する礎となる思想
-王(レックス)と皇帝(イムペラトール)の関係
--皇帝とは、(西ヨーロッパ)世界全体の政治的主権者で、普...
--王とは、地方部族の首領が皇帝によって統治の権限を与えら...
-「王は上位者を認めない」ということの効果
--合理性 = 政治的正当性の主張の必要性
--普遍的な権威(皇帝)に依存することなく、自己の政治的正...
--特殊である封建王政が、普遍である皇帝に対抗し、自分自身...
** 解答例 [#nec63d0d]
~「王は上位者を認めない」という命題は、12-13世紀ごろに教...
~王(レックス)と皇帝(イムペラトール)という概念は、ローマ...
~政治を行うためには、正当性の主張が必要である。被支配者が...
~「王は上位者を認めない」という命題は、普遍的な権威(皇帝...
~(735字)
* 2019年1月試験 [#g2bfd2fe]
~新プラトン哲学の霊肉二元論がヨーロッパ中世政治思想に及ぼ...
** 要点 [#p4252c67]
-霊肉二元論とは
--霊魂と肉体、精神と物質という形で存在をとらえるやり方の...
--霊魂>肉体、精神>物質である、という不等号が思想に含ま...
-政治思想への適用
--霊魂代表の教会・教皇>肉体代表の帝国・皇帝という帰結に...
--社会教説…世俗支配者よりも聖職者たちが優越した地位にいる...
--トマス・アクィナスの目的論的なキリスト教的存在論により...
---このような秩序にいること=最大・最高の価値であると解釈...
** 解答例 [#gef28f82]
~霊肉二元論とは、霊魂と肉体、精神と物質という形で存在を捉...
~中世ヨーロッパ政治思想においては、霊魂・精神の代表は教会...
~社会教説と結びついたのが、トマス・アクィナスの展開した、...
~社会教説とトマスの論理を組み合わせると、神に近い存在=聖...
~以上のように、霊肉二元論は普遍性ということをヨーロッパ中...
~(584字)
*2019年4月試験 [#t9a5f6ab]
~アリストテレス哲学の受容がヨーロッパ中世政治思想に対して...
** 要点 [#ef8afb0e]
-アリストテレス哲学=目的論的存在論
--物事の存在意義と目的は、上位の事物の目的に奉仕すること...
-トマス・アクィナス以前→アウグスティヌス
--人間社会は人間の原罪の結果である
---現世はすべて負の価値(無意味・無価値)である
--理性は劣った存在
--神的秩序と自然的秩序に断絶があった
-トマス・アクィナス
--アリストテレス哲学の形而上学を換骨奪胎し、キリスト教的...
--存在の究極目的を神とした
--自然的秩序と神的秩序が連続し、アウグスティヌスのテーゼ...
--「恩寵は自然を破壊せず、むしろ完成する」→自然が神の恩恵...
--理性が地位を復活、神に近づくための道具になった
** 解答例 [#na5843a0]
~アリストテレス哲学はトマス・アクィナスによって受容され、...
~目的論的存在論とは、物事の存在意義と目的は上位の事物の目...
~トマス以前のキリスト教的社会観は、アウグスティヌスの神学...
~トマスはアリストテレス哲学を利用して、人間界と神の間の断...
~自然と神が連続することで、理性の地位も大きく変わることに...
~(668字)
*2019年7月試験 [#qe612080]
~「血のカリスマ」と「官職カリスマ」がヨーロッパ中世政治思...
** 要点 [#n7a136ba]
-カリスマ支配とは
--神が特定の人物に与えた特別な才能・有徳性=神聖性に対す...
--ex)アメリカ大統領制
-血のカリスマとは
--支配者およびその家族たちの間に、被支配者とは違う神聖な...
--「支配者としての特別の血統がある」という考え方なので、...
--ex)徳川将軍家の正統性
-官職カリスマとは
--人間個人ではなく、職位そのものにカリスマがあるという考...
--ex)ペテロの座
---ローマ教皇は、キリストの第一弟子たるペテロの後継者であ...
-何故両者が重要か
--政治権力の正当性が何から付与されるのかという問題に答え...
--751年のピピンのクーデターにおいて、血のカリスマが官職カ...
** 解答例 [#n805f1cd]
~カリスマとは、神が特定の人物に与えた特別な才能・有徳性の...
~血のカリスマとは、支配者およびその家族たちの間に、被支配...
~官職カリスマとは、人間個人ではなく、職位そのものにカリス...
~両者がヨーロッパ中世政治思想の理解において重要なのは、政...
(692字)
*2019年10月試験 [#p2b3c59d]
~『平和の擁護者』(1324)について答える問題。
** 要点 [#e8caf38b]
-マルシリオ・パードヴァによる政治理論書。
-目的
--ローマ教皇の権利を基礎づけている思想的原理を根底から破...
-内容
--アリストテレス政治哲学がベース
--集団は、人間に内在する自然的本性が現実化することによっ...
--人々は、正義に裏打ちされた法律によって秩序維持をするた...
--以上の議論にキリスト教は一切登場しない・必要ないので、...
-意義
--中世の伝統である自然法・神法の法的拘束力が否定された。
--宗教的権威に依存する必要のない政治団体のあり方の基礎を...
** 解答例 [#f1b0b115]
*2020年4月試験 [#i4d3b107]
~破門がヨーロッパ中世において有した意味を、具体例を上げつ...
** 要点 [#e477cd76]
-破門とは
--ローマ教会の典礼と信仰の交わりから追い出すこと。
--主に、ローマ教皇が皇帝に対る戦略的カードとしての意義が...
-破門が大変なことである理由
--前提として、中世ヨーロッパはレスプブリカ・クリスティア...
--キリスト教徒であることによって、社会の正規の構成メンバ...
--破門されると、人間としての交わりからも締め出されるため...
---たとえ破門された人間を殺しても、罪に問われない。
-実例→カノッサの屈辱
--ドイツ皇帝ハインリッヒ4世がローマ教皇グレゴリウス7世と...
--両者の叙任権闘争(聖職者を任命する権利をめぐる争い)に...
--破門に効果があるということは、11世紀後半にはキリスト教...
** 解答例 [#e316404d]
*研究課題1 [#l7b859bc]
~日本人が「ヨーロッパ」から何を学び、「ヨーロッパ文化」か...
** 要点 [#ia18f1f9]
-キリスト教とギリシア哲学との関係
--合理性の発展→神学
-二つの権威
--対立と構造化
--歴史と正当化理論
-非連続の中に連続があること(?)
** 解答例 [#xe7893db]
*研究課題2 [#e6f3023a]
~ヨーロッパ中世では政治権力の正当化がどのように行われたか...
** 要点 [#n310a9fa]
-なぜ政治権力の正当化が必要か
--暴力による支配はコストがかかる
--コストを少なくするには、正当性が必要
-正当化の三類型
--合法的支配、伝統的支配、カリスマ的支配
--ヨーロッパ中世の正当化は主にカリスマ的支配
-ヨーロッパ中世のカリスマ的支配の二類型
--血のカリスマ
---ゲルマン神話など
--官職カリスマ
---ヨーロッパ中世の正当化は主にこれ
---ペテロの座とローマ教皇
---合理性と普遍性の追求
** 解答例 [#u201608c]
*研究課題3 [#jf257290]
~中世における「イムペリウム」と「サケルドティウム」の関係...
** 要点 [#b4a8c94f]
-イムぺリウムとは
--帝権、すなわちローマ帝国の政治的、法的遺産のこと。
-サケルドティウムとは
--ローマ帝国の聖職者階級や聖職者団のこと。
-レスプブリカ・クリスティアーナ
--ヨーロッパ全体を包括するキリスト教共同体のこと。
--レスプブリカ・クリスティアーナが楕円形をしているとする...
-両者は機能は違うが、魂の救済という目的は同一
--各々がどのような機能を果たすかが問題となり、対立した→管...
--ex)叙任権闘争
---サケルドティウムが霊的問題を、イムペリウムが現世的問題...
-合理性の発展
--イムペリウムとサケルドティウムは共通の価値観=聖書の解...
--相手の同意を得るためには論理的な解釈をもって説得しなく...
--二者の解釈による争いを通じて、論理性・合理性が発展した
** 解答例 [#v6f88510]
*研究課題4(省略) [#la3923a1]
~アリストテレス政治哲学が中世政治思想に与えた影響について...
~※→[[2019年4月試験:http://keio.rokujo.org/?%E3%83%A8%E3%8...
*研究課題5 [#f55f523c]
~封建王制は、自己の支配権力をどのように正当化していったか...
~※[[2018年10月試験:http://keio.rokujo.org/?%E3%83%A8%E3%8...
** 要点 [#oa2e4da2]
-背景
--封建王制の権力の根拠は、皇帝に依存していた
--封建王制がそれ自体で持つ、権力の正当性が必要とされた
-二つの命題
--12-13世紀ごろに教会法学者とローマ法学者が主張
--「王はその王国内において皇帝である」
---王は王国内では皇帝と同様、立法者かつ最高の権力者である...
--「王は上位者を認めない」
---王国内においては、王に対して命令する権威や権力は存在し...
--2つの命題を主張することで、他の権力によらない政治的正当...
** 解答例 [#t359fdf1]
*研究課題6 [#tc1d148c]
~ヨーロッパ中世の終わりの政治思想的意味を答えよ。
** 要点 [#p393fefe]
-中世の終わりとは
--「レスプブリカ・クリスティアーナ」すなわちローマ教会と...
--「一つの信仰、一つの宗教、一つの頭」という前提がなくな...
--公会議運動を端緒とし、宗教改革が達成されたとき完全に終...
---公会議運動においては「一つの頭」が崩れ、宗教改革で他の...
-中世の終わりの背景
--公会議運動→政治的動揺(アヴィニヨン捕囚)によって、教皇...
--宗教改革→公会議運動を反省したローマ教皇が政治的・財政的...
---キリスト教を世俗から解放しよう(純粋な宗教にしよう)と...
-中世の終わりの意味
--宗教と政治が区別され、分離されるようになった
--ヨーロッパ人が最も信仰を求める時代が訪れた
---信仰の問題が政治の問題よりも重要であるという時代(コン...
** 解答例 [#v9af2459]
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