テキスト科目情報(法学部専門科目) のバックアップ(No.44)


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混乱を避けるため、試験やレポートは何年度のものかできるだけ明記してください。

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2022年度以降の記載が薄いのでどしどし書いてください。

目次

専門教育科目(法学部)

法学部:参考文献に困ったら基本書又は概説書+科目名等で検索。定評のある基本書と書評が出てくるので、できるだけ法改正に対応した新しい本を選ぼう。おすすめ書籍も参照。

憲法(J)【甲類乙類必修】

経済学部「憲法(E)」参照

  • 学習量  ★★☆☆☆
  • レポート ★★★★☆
  • 試験 ★★★☆☆

法甲必須3科目のうちの1つ。法甲専門科目の入門的な科目。市販テキスト「プレステップ憲法」は他の科目と比べると大変薄く(本文は166P)、表紙や帯もライトな感じが否めないが、本文はちゃんと教授が書いてるので基本的なことが押さえてあり好感が持てる。ここから芦部憲法などのいわゆる基本書にステップアップするために最適だろう。でも登場人物に「キタ―――(゚∀゚)―――― !!」と言わせるのはやめたほうがいいと思う。レポートはとても書きやすい。しかも大抵は合格にしてくれるとの報告あり。科目試験は過去問、代替レポートともに「プレステップ憲法」ではとても対処できない内容であるため、別に基本書を用意してしっかりと学習しておく必要がある。

  • レポート合格時の添削コメントが「OK!! Good Job!!」なのでとてもうれしい。
  • 「プレステップ憲法」から芦辺憲法(密度高い)はステップアップしすぎなので、中間に『一歩先への憲法入門』有斐閣、がおすすめ。頻出論点がコンパクトにまとまっている。

社会問題を憲法から論じさせる課題対策としては、社会テーマ別の解説もある『憲法を学ぶための基礎知識 論点 日本国憲法』東京法令などがおすすめ。


2021年度記載。憲法のレポートは合格基準はさておき、課題は教科書だけで書ける内容ではなくかなり苦労しました。代替レポートのテーマも教科書以外の論点を見つけて落とし込むのが難しかったです。

2023年は上の記載と雰囲気がかなり違います。SNSを見ていてもレポート苦戦している人が多数です。担当者が変わったと思います。

民法総論【甲類必修】

  • 学習量  ★★★★☆
  • レポート ★★★☆☆
  • 試験 ★★★☆☆(2021年度~★★★★★?)

法甲必須3科目のうちの1つ。すべての法律系科目の基本になるので、しっかり学習すること。市販テキストであるコア・テキスト民法Ⅰは細かい点の記述が多く、特に無効・取消し・代理のあたりは複雑で、初学者にとっては苦行になること間違いない。法律はいきなり難しい本に手を出しても意味が分からず時間を浪費するだけなので、法学未修者は伊藤真の民法入門などの超入門本→呉明植基礎本シリーズ民法総則など読みやすい本→コアテキスト民法総論、のように段階を踏むべきだろう。レポートは非常に書きやすいテーマでしかも合格しやすいが、手書き強制。試験もペン書き必須で量も多く手にダメージを与える科目。試験は法律系科目では珍しく、六法持ち込み不可であるため注意。問われていることは基本的なことだが、持ち込み不可であることと量の多さが難易度を上昇させている。過去問をしっかり解いておけば対処できるはず。

指定『コアテキスト』は、少数説をがっつり採用している箇所があるので、方針を決めておいたほうがよい。つまり、指定テキストに沿ったほうが受けが良いとおもうか、判例通説で行こうとおもうなら他の基本書で勉強するほうがいい。

2021年4月試験以降、代替レポートの評価が厳しくなったようで不合格者が続出している。


指定のコア・テキスト民法Ⅰは、細かい学説や論点の紹介にページを割いており非常に分かりにくい。併用書としては、潮見佳男の『民法(全)』がおすすめである。構成や法の適用範囲が箇条書きで記され、かつ呉明植基礎本シリーズより説明が豊富。著者は債権総論の権威であり、内容の信頼度は高い。何より文体に品があり、指定テキストと比較すると分かりやすさは歴然である。

レポートは2023年度時点でweb提出可。

科目試験は2023年第一回(対面)時点で六法持ち込み可、筆記用具は指定なし。なお、持ち込める六法は、

  • ポケット六法 有斐閣
  • デイリー六法 三省堂
  • 法学六法 信山社

のいずれかのみで、かつマーキング・アンダーライン・チェック以外の書き込みは禁止である。

刑法総論【甲類必修】

  • 学習量  ★★★★★→★★★☆☆(2021年度以降)
  • レポート ★★★★☆
  • 試験 ★★★☆☆(代替レポート)

法甲必須3科目のうちの1つ。刑法のベースとなる各種理論を学ぶ。テキスト『講義刑法学・総論』は630P程度と非常に分厚く、内容もやや難解で詳細にわたる。刑法の教科書として3冊目くらいに読むと、言葉を尽くして疑問点に全部答えてくれる親切なテキストだと感じるが、民法総論と同様、いきなりこのテキストを読むと絶対に挫折するので、事前に伊藤真シリーズや岩波新書「刑法入門」などで大枠をつかんで、2冊目に山口厚『刑法』の総論部分などを読んで基本語句を把握してから読むと、ちょうどいい。学習量は多い。

  • 2021年度より指定教科書が『日評ベーシック・シリーズ 刑法Ⅰ』に変更となった。同シリーズは初学者でも挫折せず学べる本なので、順当な変更と言える。はじめからこれで学べばよかった。

『刑法判例50!』有斐閣はおすすめ。主要な判例を題材にして、刑法論点を解説する内容。百選よりも、なぜなにの解説が平易で理解が進む。レポート課題なら他の文献にあたらなくても書けてしまう論点もあるくらいの充実ぶり。

20年度レポート課題は長い事例問題で、初学者が分析するのは難しい。テキスト履修要領にレポートの書き方が詳しく載っているため、形式を整えることはやさしい。必ず読むこと。刑法各論にも同様の書き方が載っている。web提出できるため、何度も往復することを覚悟してチャレンジしよう。不合格になっても、適切に指示を出してくれるため、再レポートはしやすい。

20年第Ⅱ回試験代替レポートも事例問題だったが、論点がわかりやすく容易だった。しかし、採点は厳しかった。

刑法各論

  • 学習量  ★★★☆☆
  • レポート ★★★☆☆
  • 試験 ★★☆☆☆(代替レポート、2020年度)→★★★★★(代替レポート、2021年10月試験)

刑法総論を下敷きとして、法定されている各種の犯罪について学ぶ。テキスト『新論点講義シリーズ・刑法各論』はやや密度が高いが、標準的な教科書。4単位であることを考えると、レポート提出までに必要な学習量は少ない。刑法総論の方が苦しいのに3単位なのが納得いかない。刑法総論で学んだ概念が多数登場するので、刑法総論を学習した後の履修が望ましい。

総論と同様に『刑法判例50!』有斐閣がおすすめ。

20年度レポート課題は刑法総論とあまり変わらない事例問題。各論はもちろん総論で学んだ論点も盛り込む必要がある。20年第Ⅱ回試験代替レポートは刑法総論と同様、論点が明快な事例問題で、回答しやすいものだった。


2019年度のレポート課題は刑法総論の知識が必須なので,総論と並行して学習する必要がある。科目試験は各分野から幅広く出題されている。山を張るのは難しいので気合を入れて試験対策に臨もう。


2021年10月試験代替レポートは手書きの上に合格者がおらず、非常に厳しい試験であった。


2022年4月試験代替レポートも採点は厳しかった。レポートは合格しているので、正直理由がわからない。

物権法

  • 学習量  ★★★★☆
  • レポート ★★☆☆☆
  • 試験 ★★☆☆☆(代替レポート)

物権と担保物権について学ぶ。動産よりも不動産の話が多い。実際問題になるのが不動産であることが多いからと思われる。第三者対抗要件を満たすかどうか検討することが多いので、債権総論を履修済だとイメージが格段にしやすくなる。特に不動産の物権変動と抵当権は、場合分けが極めて多く複雑怪奇で、全部一度に理解するのは無理だろう。それだけ実務で争われることの多い、大事な分野であることが分かる。指定テキスト「民法II 物権 LEGAL QUEST」はわかりにくいという定評があるので、最初にこれで勉強するのはやめて「講義 物権・担保物権法」や「民法Ⅱ 物権 (有斐閣Sシリーズ)」を代替品として使うのがよい。内田「民法Ⅰ 総則・物権総論」「民法Ⅲ 債権総論・担保物権」も高いけどわかりやすい。潮見「民法(全)」など易しい本で知識を整理して、「民法②判例30!」で実例を学ぶのでも十分かも。

20年度レポートは取り組みやすいものの、扱う範囲が広く1問で4000字書けそうな課題が2問もあるため、手間がかかる。

2020年10月試験代替レポートは事例問題で、争点が分かりやすく文字数も少ない(1500字)。教科書を読み込めば難しくない。ただし評価は厳しめ。

債権総論

  • 学習量  ★★★☆☆
  • レポート ★★★☆☆
  • 試験 ★★★☆☆

債権とは何か、債権の効力や移転、保全、回収などについて学ぶ。2020年度から「新・債権総論」となり改正債権法に対応した改訂がされることとなった。有斐閣Sシリーズ民法III債権総論は、テキスト著者の池田先生も担当している上位互換のテキストなので、併用するとよい。慶應テキストでは池田先生の自画自賛や自著の大量の紹介が目に付く。自画自賛するだけあって理解はしやすい。レポートを作るにあたっては、できるだけ多くの参考文献が必要。レポートが一度不合格になると、レポートの書き方について気合の入った別紙が添付されてくるので、励みになる。事例問題が出るからと思われるが、大学から配られる過去問集に過去問が載っていない。六法を写すだけでは対処できず発展的なことまで問われる。テキストは読み込む必要がある。Sシリーズを使うなら重要度の高い論点は抑えておこう。ペン書き必須なので注意。

参考文献にある潮見『プラクティス』は、好みが分かれるとおもう。1行事例が大量に挿入されていて本文が細切れなので通読しづらい。反面、事例のおかげで争いのイメージがしやすいともいえる。

債権各論

  • 学習量  ★★★★☆
  • レポート ★★★★★
  • 試験 ★★★☆☆(代替レポート)

抽象的な債権総論とは変わって、主に契約について具体的に学ぶ。契約総論から各論である典型契約13種類(贈与、売買、消費貸借、賃貸借、雇用、請負など)、事務管理、不当利得、そして条文は短いのに、適用範囲が広いため学習量の多い不法行為を学習する。非常に範囲が広い。テキスト著者は債権総論と同じ池田先生で、入門としては非常にわかりやすくコンパクトにまとまっていて、巻末の学習ガイダンスや参考文献案内にも愛を感じる。債権総論テキストと同じく自著をすごくプッシュしてくる。量が少ないのでレポート・試験ともに上位互換の参考書が必須と思われる。参考書は指定されていないがSシリーズ民法Ⅳ債権各論が使えるかもしれない。分厚い。事例問題集として『Law Practice』が推薦されている。

レポートがなかなか合格せず、法甲最難関と言われている。10回文通した人も。課題自体は標準的で、特段難しいわけではない。3週間ほどで採点結果が出るので、月に1回のラブレターと思って文通を頑張ろう。指摘箇所を毎回直していけばいつかは合格する。

試験はやや難しいが、テキストの範囲内+αで十分に答えられる事例問題が出題された。

親族法

  • 学習量  ★★★☆☆
  • レポート ★★☆☆☆
  • 試験 ★★☆☆☆(代替レポート)

夫婦・親子関係を規律する法律を学ぶ。債権や物権とは異なり一身専属的な身分権の話で、かつ婚姻・養子縁組など個人の任意性も重視される特殊な法域である。指定市販テキストは有斐閣アルマ。相続法より親族法の記載が手厚い。入門にぴったりなので、親族法→相続法と進むとよいかも。民法総論・債権総論の履修が必須。

2021年度レポート課題は2問、1単位科目で合計2000字なので、1問1000字程度と短め。2問とも、誰の身にも起きうること(特に既婚者は)であるので、親しみやすく書きやすい。テキストで十分。

2021年7月試験代替レポートは手書き。手間はかかるが難易度はそれほどでもない。

相続法

  • 学習量  ★★★☆☆
  • レポート ★★☆☆☆
  • 試験 ★★☆☆☆(代替レポート)

死後の財産の承継についてのルールを学ぶ。遺言による財産移転の自由の保障と、法定相続分・遺留分による家族の保護をいかに調和するべきかがポイントとなる。指定市販テキストはリーガルクエスト。やや細かい点の記述が多く、初学だと厳しい。親族法の指定テキストである有斐閣アルマの方が基礎的な解説が厚いので、こちらを読んでからがよい。親族法とセットで履修すれば相乗効果が得られるだろう。親族法と同様、民法総論・債権総論を応用した論点が多い。

親族法と同様、レポートは2問。最新の改正の話題と、スタンダードな話題の2本立て。いずれも必要なことをまとめているとすぐ2000字に到達するため、コンパクトにまとめないといけない。特に後者は設問内にヒントが多く書きやすい。

2021年7月試験代替レポートは相続法と同様に、手書き。難易度も同じくらい。

会社法(J)

経済学部「会社法(E)」参照

  • 学習量  ★★★★★
  • レポート ★★★☆☆
  • 試験 ★★★★☆(代替レポート、評価が厳しい)

会社の存在意義や成り立ち、組織形態などを学ぶ。民法や刑法のように難解は箇所はほとんどないが、まじめに勉強しようとすると非常に学習量が多い。個別株投資や就活などのために企業分析をしたことがある人にはとても面白い。自株式の発行ってこうやるんだ!取締役ってこうやって選出されるんだ!そもそも会社ってこんな手続きを経て結成されて、遵守事項がいいっぱいあるんだね!などなど。自営業の人も楽しく勉強できるはず。逆に会社に全く馴染みのない人にとっては、無味乾燥でつらい科目。試しに自分の好きな企業の決算書や有価証券報告書、年次報告書を読んでみると、だいぶイメージがつかめるはず。

教科書『会社法の考え方』は会社法を学ぶ1冊目として書かれたようだが、著者(慶應の先生)の「法律は言葉だから、言葉で説明するべき」という謎の信念により、複雑な会社法を説明するのに図が一切なく、つらい。情報量も少なく、2020年レポート課題に関する記述はごく少ない。そのためレポート作成のために何冊か文献をそろえる必要がある。レポート自体は書きやすい。参考書の田中亘『会社法』は800P近く分厚いが非常にわかりやすく、抵抗がなければこちらから読み始めてもよい。

試験の採点が厳しく、不合格者を少なくとも10人以上見たことがある。また、レポートの添削が遅く、だいたい2か月強かかる。添削そのものは丁寧で、次にどこを直せばよいか明確にしてくださる。

2020年10月試験代替レポートは比較的解答しやすい課題だった。評価は厳しくつけられたという報告あり。

商法総則・商行為法

  • 学習量  ★★★☆☆
  • レポート ★★★☆☆
  • 試験 ★★★☆☆(代替レポート)

商人、商号、商業登記、取引行為など個人の商事に関する法律を扱う。会社法→商法→民法の順で基本法となるので、会社法、民法と相性が良い。というか、民法、特に総論と債権各論の履修がほぼ必須。だれでも一定金額以上の売り上げがあれば商人となり商法の拘束を受ける。知っておいて損のない法律である。

指定教科書はSシリーズが採用されている。Sシリーズは概して中級者向けだが、商法総則にはもっと噛み砕いた入門書はないので、本書を繰り返し読むのがよいと思われる。後半の各論が特に面白い。保険法の概要などもあり、ここから保険法海商法に進むのもよいかもしれない。

2020年レポート課題は、かなり範囲の狭い話題について掘り下げて検討する。ターゲットとなる判例があるので、それを中心に組み立てればよい。判例百選が必須。学説・判例の紹介だけではなく自分なりの論の展開が求められる。

2021年4月試験代替レポートも範囲の狭い話題(特定の条文)について深く検討させる問題だった。評価は厳しめ。

手形法

手形法は、戦前に制定された漢文調の片仮名・文語体のまま放置されている法律である。恥ずかしながら今回着手するまで、独立した法律だとは知らず、商法の一編だとおもっていたし、この歳になって漢文を読む羽目になるとも想像していなかった。愚痴はさておき、手形法の何が特徴であるかといえば、手形行為はまぎれもなく法律行為であるにもかかわらず、その規定が民法の基本である契約自由の原則の例外にあたるところであろう。基本原則の例外を大々的に設けるのであるから、その内容はといえば当然に、手形の作成、譲渡、支払請求、支払拒絶後の取扱等、詳細かつ厳格に規定するものとなる。にもかかわらず、あちこちに明文規定の穴があり、ここに民法の一般規定を充てるか否かで大論争が繰り広げられているのである。ちなみに、慶應通信の商事系科目(会社法、商法総則など)は課題レポートや成績評価が厳しい傾向があるようにおもうのだが、この手形法も例にもれず、課題レポートが辛辣なコメントとともに不合格で返送されてきた。履修要綱にある文献のほとんどすべてを入手して参考文献にも挙げてレポートを書き上げたのに、参考文献が不足しています、って、、、。四の五の述べたが、つまり、難しい、これに尽きる科目のようにおもう。

保険法・海商法

保険法は、保険契約に関する一般的なルールや当事者の権利義務などを定めた法律である。保険契約に関する規定は以前、商法のなかに定められていたが、全面的な見直しがなされ、独立した法律として2010年に施行された。さて、保険法を学ぶ意義とはなにか。それは、人生における大きな支出を思い浮かべてみてほしい。総額でいえば、税・社会保障や、子育て・教育や、家賃・住宅ローンなどが上位にくるであろうが、保険も相当に大きい支出として上位に顔を出すだろう。大きな買い物でプライベートジェットやスーパーカーなどが思い浮かぶ人生を過ごしているかたはさておき、一般には多くの人が人生における大きな支出としてその負担の当事者となるのが保険という制度なのであり、その法的構造を学ぶことは、人生で損をしないために有意義であるといえるのではないか。

課題レポート・科目試験に限っていえば、民法・会社法・商法総則を履修していなくても十分取り組める。課題レポートは、海商法の部分に工夫は不要で、基本的理解を1500字で書けばよい。残り2500字を保険法で埋めれば、もう完成である。3単位科目であることからも、早期に履修の価値がある科目かもしれない。

指定テキスト、現代保険・海商法30講義[第9版]は、おすすめできない。海商法部分の記述が、平成30年商法改正に対応しておらず、本全体の3分の1が、ほぼ意味なし。ちなみに海商法にとっての30年改正は、全条文が書き換わったと表現しても過言ではないくらいの大改正。改訂版が出るまでは購入する必要がないとおもう。岡田豊基『現代保険法・海商法』中央経済社あたりが指定テキストと程度が似ているので代わりになる。

  • 2021年度はテキスト全面書換となりました。

2021年度から指定テキストは、岡田豊基『現代保険法・海商法』中央経済社となった。あっさりとまとまっているので、これ1冊ではやや足りない。山下友信『保険法』有斐閣などの分厚いものを何か借りてくると辞書替わりによい。ほか、保険法成立時の解説書も1冊あると大変役立つだろう。法施行の2010年当時に発売されたものばかりなので、アマゾンで300円で買える。海商法は、前掲岡田があれば理解には十分であるが、平成30年商法改正に対応したものなら、どの文献でも大差ない。

民事訴訟法

民事訴訟法は、民法などが当事者間の権利義務といった法律関係の内容を規定した実体法といわれるものであるのに対し、この実体法を実現するための手段・手続を規定した手続法といわれるものであり、私人の間の紛争を解決する民事裁判の手続についてを学ぶ科目である。

科目試験の合格者をほとんど見たことがない。法甲最難関科目と思われる。問題の趣旨を的確に把握し、法的三段論法を適用出来れば合格できるといわれている。

観測範囲での成績はB1人、C3人、D10人程度。Bで神、合格できれば御の字。SやAを取れる人はいるのだろうか。


  • 学習量  ★★★★☆
  • レポート ★★★★☆
  • 試験 ★★★★★

2021年の新・民事訴訟のレポート課題は債権総論の債権者代位権が絡む内容です。債権者代位権の法改正部分を理解してから、取り組むのが良いです。

刑事訴訟法

4単位のわりに取り組みやすい、隠れたお勧め科目。刑訴法の論点は、人権保障が根っこにあるものが多いことから、憲法の文献が参考になったりするので、憲法を先に履修することをお勧めしたい。他方、レポート課題やテスト対策でいえば、刑法の履修前でも問題なく取り組める。

安冨潔『刑事訴訟法[第2版]』三省堂は、通教テキストの上位互換。著者が同じだからの程度をこえて、三省堂版の細かい記述を削除して通教版を作ったでしょといいたくなるくらい。通教版で物足りないひとや、辞書がわりにどうぞ。

ぜひおすすめしたいのは斎藤司『刑事訴訟法の思考プロセス』。課題レポートに大変役立つ。


  • 学習量  ★★☆☆☆
  • レポート ★★☆☆☆(暫定)
  • 試験 ★☆☆☆☆(代替レポート)

刑法を実現するために、被疑者や被害者の人権との調和を保ちながら捜査・公判手続・証拠調べ等を実際に行うための法律を学ぶ。手続法は退屈になりがちだが、警察官や検察官の立場になり、自分が刑事ドラマの主役になったつもりで読むととても楽しい。

通信テキストは安富先生の『刑事訴訟法講義』と同内容(2021年版序文より。おそらく2021年発売の第5版と同内容)。ごく平易な文章で初学者でもぐんぐん読める神テキスト。しかも司法試験にも必要十分な内容でこれ1冊で合格したとの声もある(第4版のamazonレビューより)。それなりに量はあるものの、読むのが苦ではないため4単位の割には内容は少なめに感じる。一段上の記述で紹介されている『刑事訴訟法の思考プロセス』もすばらしい内容で、通信テキストではごく簡潔にまとめられている論点の理解がぐっと深まる。所々ちりばめられているジョジョネタや、斎藤先生が殺されたり訴追されたりする実例も面白い。

レポート課題は非常にメジャーな話題で、資料も豊富にあるし想像もしやすいから、自分の意見を積極的に書いていける。

2021年7月試験代替レポートもスタンダードな話題で容易だった。

行政法

いくつもの法律に分かれて定められている、お役所がする行為と、お役所の組織と、お役所に対して不満がある場合の手続とについて学ぶ。独特の世界観と用語とに最初戸惑うが、縦(どの行政法上のどの分類の手続か)と横(他の似た用語・手続と比較してどう違うか)とに慣れてくると、不思議とカンが働くようになる。しかし、分かった気分になって学習を進めると、食品衛生法や建築基準法などがドンドンと出てきて面食らう。不思議な分野である。

指定テキストのサクハシ弘文堂は分かりやすいが、好適なのは2冊目としてであろう。では、1冊目はといえば、それは入門書のうちで、縦横(前掲)を教えてくれるものがよいのではないか。たとえば、田中嗣久『行政法の基礎がわかった』法学書院24-25頁を見てみてほしい。行政法の全体図が掲載されているのだが、このような位置関係を意識すると、学習が進むとおもわれる。なお、課題レポートや試験対策としては、サクハシだけだとやや足りないので、辞書がわりになる他の参考文献も入手したい。

労働法(J)

経済学部「労働法(E)」参照

2019年度のレポート課題は超重要判例・学説について論ずるものであり,参考文献は山のようにあるので書きやすい。科目試験は過去問を見る限りではオーソドックスな問題が多く,対策は立てやすい(と思う)。


  • 学習量  ★★☆☆☆
  • レポート ★★★☆☆
  • 試験 ★★☆☆☆(代替レポート)

知っていると得する労働法と言われる。労働者に保証されている権利、損害補償、労働三権、紛争解決などを学習する。指定テキスト「フロンティア労働法 第2版」(2014年)は、基本的に押さえておくべきことがよくまとまっており、初学者でも十分読むことができる。本書は改訂版が2020年に出る予定だったが、なぜか未だ改訂されていない(2021年2月現在)。働き方改革について言及されていないなど、内容が若干古い。重要判例などの参考資料がなぜか書籍とは別にwebにアップロードされており、たいへん不便。本に書いてくれればいいのに。参考資料込みで約300Pとそれほど覚えることはない。水町勇一郎「入門労働法」を先に読んでおくと、労働法全体の枠組みと最新の動向がわかりやすい。

20年度レポートは19年度同様に学説・判例について論ずる。指定テキストは論点についての記述は手薄なので、判例集や参考文献にあたる必要がある。比較的狭い論点なので、独自の論を展開することが要求される。問題意識をもって課題に答えよう。

参考文献の菅野労働法は、社会学指定テキストの分厚さをしのぐ1248P。7150円と値段も破壊的。しかし買う必要はない。レポート執筆の時に図書館で参照すればよく、試験は指定教科書で十分対策が可能。

2021年4月試験代替レポートは文字数が600字*2問と短く、教科書で十分に解答可能だった。評価もやさしい。

破産法

倒産法制はその目的別に清算型と再建型とに分けられるが、破産法は、清算型の基本法となるものである。何やら教科書的な書きはじめとなってしまったが、要は、破綻という究極の状態に行き着いてしまった者の財産を、どれだけ高く換金し、どのように配分すればその取り巻きたちへの影響を最小限に食い止めることができるか、という手続を学ぶものである。ダメ人間とそこに群がるハイエナたち、自己破産した元夫と養育費が欲しい元妻、経営に行き詰った会社と貸し付けた銀行、これらに挟まれながらも黙々と働く破産管財人など、妄想が浮かびはじめるところにまで行きつけば、社会の荒んだ一場面を垣間見ることができる、とても興味深い科目なのである。ただし、「楽」な科目という意味ではないことに注意をしてほしい。まず、何度見返しても混同してしまう似たような初見の用語が多く(破産財団、破産債権、財団債権など)、初学者を混乱させる。そして、債権法、民事訴訟法あたりを履修ずみでないとよく分からない部分が多いことも、学習がはかどらない原因となり得るだろう。

指定書の加藤哲夫『破産法』弘文堂は、破産法プロパーなので詳しいが1冊目として読むには厳しいか。山本和彦『倒産処理法入門』有斐閣は、分かりやすくて1冊目としてお勧めできるが、記述があっさりしているので、レポート作成にはやや足りない。伊藤眞『破産法・民事再生法』有斐閣は、詳しすぎるくらいに詳しいがレンガブロックみたいな超重量級の本なので、辞書替わりに借りてくれば役立つだろう。

経済法(J)

経済学部「経済法(E)」参照

経済法制には下請法や景品表示法など諸々が含まれるが、学習範囲としてはいわゆる独占禁止法、これのみである。条文も多くなく、2回に1回は登場するような大論点もあることから対策も立てやすく、しかも、学習が進むと事例のおもしろさも感じられるという、事例問題好きにはお勧めの科目といえよう。たとえば、刑法総論・各論が前後編の超大作映画だとすれば、経済法は、しばらくぶりに制作されたその続編であり、小粒の最新作といった印象である。本作では、経済界を舞台に、私的利益を得ようとして寄り集まった大企業と、公正取引委員会Gメンとの闘いが緊迫感とともに描かれており、それは、どこにでもいるような普通の会社員たちが会社のために悪事を働いてしまうという転落の人生を描いた物語でもあるのだ。話しを戻そう。では、何が学習の障害か。それは作法であろう。論述の書き方が完全に刑法のそれなのである。したがって、刑法の課題レポートに合格する程度でないならば、経済法に取り掛かるべきではない。刑法に合格したその時に、もし、これ系が好きかもとおもえたならば、ぜひ、刑法の直後に続けて経済法に取り掛かることをお勧めしたい。

指定書の岸井大太郎他『経済法』有斐閣アルマは、1冊目によし、課題レポートにもよしの、購入お勧め本といえよう。私は金井貴嗣他編著『独占禁止法』弘文堂もあわせて購入したが、基本書wikiに出ているような人気本であれば、どれでもいいとおもえた。なお余談だが、科目履修が卒業所要単位を超えたものとなった今頃になって、逐条解説・コンメンタールってあるといいなと、その有用性に気づいた。とはいえ、コンメって通読に不向きで、高価で買いづらいことが多いのだが、経済法については、土田和博他『条文から学ぶ独占禁止法』有斐閣が値段もお手頃で、内容もあっさりながら必要十分で、お勧めできる。

国際法Ⅰ

  • 学習量  ★☆☆☆☆
  • レポート ?(厳しいと評判)
  • 試験 ?

国際法Ⅰは、国家間の問題を扱う国際公法のうち、国際法の主体、法源、責任を対象とする科目である。

レポートが厳しいと評判。指定テキストを読む前に、有斐閣アルマ「国際法」などの概要書を読むと理解が楽になる。国際法I、IIに共通することだが、もともと薄いテキストのうちたったの40Pが学習対象となっており、テキストだけでレポートを作成することが困難。「現代国際法講義」などで補う必要がある。

レポートがなかなか合格しないことで評判がある。法学部では、債権各論と双璧か。

2021年1月試験代替レポートは、下記の国際法Ⅱと同様、司法試験を題材にして出題された。

国際法Ⅱ

  • 学習量  ★☆☆☆☆
  • レポート ★★☆☆☆
  • 試験 ★★★★☆(代替レポート)

国際法Ⅱは、国家間の問題を扱う国際公法のうち、紛争解決、武力紛争法(国際人道法)を対象とする科目である。

レポートは優しいと評判。2019週末スク・2020Eスクの先生が添削しているらしい。国際法Ⅰと同様「よくわかる国際法」のうちほんの40Pだけが範囲である。本当にそれだけでいいのだろうか。

レポートの添削が非常に早く、1週間くらいで返送される。3日で結果が出たこともある。web提出可能なこともあって慶應通信でぶっちぎりの最速と思われる。先生最高

2020年第Ⅱ回試験代替レポートは司法試験の過去問の改題で、非常に難しかった。しかし論点を煮詰めると、基本的なことが組み合わさった事例であるとわかり、あとは関連する法源・根拠・判例を集めてこれさえすれば、何とか解答することができた。採点も優しめ。レポート作成にあたって浅田正彦『国際法』が大いに活躍した。3000円強と分厚さの割に安いので国際法Ⅰと共通でおすすめ。

国際私法

国際法Ⅰ・Ⅱ(国際公法)が国家間の問題を扱うものであるのに対し、この国際私法は、婚姻、親子関係、契約、不法行為のように民・商法などが対象とする私人間の法律関係を扱うものである。恥ずかしながら今回着手するまでは、「法の適用に関する通則法」という国内の法律を学ぶ科目だとは知らず、国家間の条約であるとか国際機関の規程であるとか、外国法の何かを学ぶものだとおもっていた。このいわゆる通則法は、附則を除けばたった43条の法律ではあるが、国際結婚の夫婦がもめた場合や、契約や不法行為の要素のうち場所や当事者などに外国的な何かを含んでいる場合について、このような法律関係に最も密接な関係のある場所の法律とはどれであるのかを指定する法律である。たとえば、相続については、遺産をもらう側である他の国籍の近親者等が他国法上で何らかの権利が認められているとしても、通則法上では、亡くなった者の本国法により権利を判断すると定めているのである。さて、学習についてであるが、そもそも少ない条文数の法律が2006年に全部改正されたものであるため、順序だてて極めて体系的に規定されており、全体像と基本操作については超短期間で理解できるだろう。このシステマティック感は、他の法では感じたことのない感動がある。反対に、学習上の障害はといえば、浅くではあるが民法上の法律関係がすべて再登場するため、民法全科目の学習が終わっていないと、ある段階からは理解を進められないことが挙げられる。それと、課題レポートがワープロ不可であることも手掛けづらい理由のひとつである。

テキストは、1冊目は断トツで、多田他のストゥディア有斐閣。図表やフローチャートを多用しており、よい参考書が見当たらないなかで大いに理解の助けとなった。契約や不法行為あたりの適用順序についてはストゥディアがなければ理解できなかったかもしれない。指定テキストの澤木他『国際私法入門』有斐閣は、2冊目あたりとするのが好適だろう。設例やコラムを多用するタイプが好きなら、松岡編『国際関係私法入門』有斐閣が前掲澤木他のかわりにお勧めできる。神前他のアルマ有斐閣は中途半端。中西他のリーガルクエスト有斐閣は、妙に詳細で、持て余した。小出編著の逐条解説 商事法務は、逐条の解説というよりは法改正の説明本であり、家族法あたりが抜け落ちているので要注意。

英米法

  • 学習量  ★★★★☆
  • レポート ★★★★☆
  • 試験 ★★★★☆(代替レポート)

英米法の特徴、歴史的経緯などを学ぶ。イギリス・アメリカの法律を卒論で引用する場合は必須となる。英国・米国は判例法ベースなので日本法と大きく異なり、概念をつかむのが難しい。テキストは140P程度で非常に薄く学習量は一見少ない。しかし簡潔すぎて詳しい説明が少なく、判決文が原英文で何Pも貼り付けてあったりと、理解が困難な個所が多い。レポートに関する話題は辛うじて書かれているものの、他の入門的な文献を参考にしつつテキストを熟読し消化したうえでないと、書けない。レポートはほぼ全科目がweb提出となった2021年度~2022年度でも手書き強制で、採点者のこだわりが感じられる。採点コメントがやさしいのでやりがいはある。

田中英夫『英米法総論 上下』が上位互換のテキストとして使える。慶應テキストはこの本を参考にしたと思われ、構成がほぼ同じで、英国の司法制度の構成など全く同じ図もいくつかある。ただし量が多く慶應テキストの5倍くらいあるし、高い(¥8,030)。

試験代替レポートは時事問題の論評で、米国法の特徴と関連付けて説明する必要があり、難しかった。『英米法総論』はかなり活躍した。試験の評価が厳しいといううわさがあるが、自分の意見を筋を通して書けていれば高評価が望めると思われる。

刑事政策学

  • 学習量  ★★★☆☆
  • レポート ★★★☆☆
  • 試験 ★★☆☆☆(代替レポート)

刑法の応用科目で、犯罪論と予防、被害者支援、死刑、犯罪者の処遇や更生について学ぶ。刑法が既習だと理解が深まるが未修でも問題ない。指定テキスト『ビギナーズ刑事政策』はやや量が多いが、初学者でも十分読める。また、スクーリング(2020夏スク)と共通のテキストなので、既修者は取り組みやすい。

2020年度レポート課題は論点が具体的で、とても書きやすい。ただし、関連する論文を読んで検討することが求められる。夏スクを担当している尾崎先生が添削してくださっている。

1年ごとにテーマが決まっていて、2020年度は薬物依存、2021年はDV(テキスト科目履修要領より)。レポート、試験もこの範囲から出題される可能性が高い。

法哲学

  • 学習量  ★★★☆☆
  • レポート ★★★★☆
  • 試験 ★★☆☆☆(代替レポート)

通信テキストがすごく薄く(120P)ごく基本的な説明にとどまるので、これ1冊ではレポートにも試験にも太刀打ちできない。参考文献の有斐閣『法哲学』の前半部分はほぼ同内容で、大屋先生パートの正義論・自由論は一部要約・加筆の上で通信テキストに引き継がれている。

課題レポートは大きなテーマを「論ぜよ」という問題で、3問から1問を選択する形式のため、得意な話題を選べる。テキスト及び参考文献を考え抜いて消化した上で、自分の言葉で大部分を書く必要がある。必要な参考文献はすべてテキスト内に示されている。いずれの課題も議論が込み入っており容易にはいかない。普通課程・特別課程の人は、総合科目の哲学を履修済みだと論証しやすいだろう。

なお、採点は大屋先生本人がやってくれる。うれしい。

2021年7月試験代替レポートは文字数こそ少ないものの、論点のまとめだけでは記述不足になる。やはり自分の言葉を書く必要がある。とはいえ課題レポートよりはかなり楽で、自分なりの筋の通った見解が書けていれば高評価が望める。

日本法制史

西洋法制史

基礎法は基本的に地雷科目であるが、この科目は特に注意。 シラバスにも書いてあるが六法を履修してない方は歓迎しないので、レポート一発合格は極めて困難。また、当時の背景を知る必要から世界史もマスターしてないとより一層難しい。 科目試験はレポート内容に近いとされるが、テキスト全般に目を通しておくべき。誰が何の学説を唱えたか整理しておくといい。

政治学(J)【乙類必修】

  • 学習量  ★★★★☆
  • レポート ★★☆☆☆
  • 試験 ★★★☆☆

法乙の必修科目にして、6単位という、ある意味ボーナス科目。 政治思想、政治制度、比較政治、政治理論など多岐に渡る分野を網羅しているため、深く突っ込むと相当な勉強量になるが、レポートは毎年4つ程度の課題の中から1つを選択する形式なので、得意分野を選んで取り組めば難なく合格できるはず。採点は甘めだが、合格でも一言辛めのアドバイスを頂ける傾向。 参考文献も、レポ合格だけを目指すなら、自分で選択したレポ課題に沿ったものだけを準備すればOK。

科目試験は持込可だが、上記の通り出題範囲が広いため、文献を持込もうとするとエグい量になってしまう。従って、自信のない分野や苦手な分野を中心に、用語説明を自分で書き記したノートを作成しておくと対応しやすいと思われる。

政治哲学

  • 学習量  ★★☆☆☆
  • レポート ★★★☆☆
  • 試験 ★★★☆☆(代替レポート)

政治学、政治思想史、法学、法哲学の総集編といえる科目。特に正議論やフェミニズム・多文化主義などは法哲学と相当かぶっており、両方履修するとやりやすい。指定市販教科書『初めての政治哲学』は短いが、ジャーゴンを一切排したミラー先生の深い洞察が満載のテキスト。本人+訳者による巻末の100を超える参考文献一覧もすばらしい。レポート課題は非常に漠然とした問で、丸写しが一切通用しない。テキストを読めば枠組みは十分作れるので、参考文献を数冊読んで(履修要領によると、数冊読むことは必須)詳細な肉付けをしていくと書きやすい。

2021年7月試験代替レポートは大きめの話題を扱う課題で、やはり参考文献が必須。『現代政治理論』(有斐閣アルマ)がまとまっていて使いやすかった。

日本政治史

  • 学習量  ★★☆☆☆
  • レポート ★★☆☆☆
  • 試験 ★★★☆☆

明治維新あたりから第二次世界大戦あたりが扱われている。 この時代に興味がある人にとっては、然程難易度は高くないと思われる。レポ課題も比較的明確なため、自分で展開を考える必要もなく、課題に沿って素直に論じていけば合格できそうである。参考文献も課題に沿った図書館レベルのものが5冊程度あれば充分である。

科目試験も素直に論じられれば良い。但し、乙類の○○史という科目の中では、出題範囲が100年弱と狭めなため、上辺を掬った程度の知識ではB止まりである。テキストの目次になるような大きな事象や戦争について、きっちり流れや登場人物を理解し、アウトプットできるようにしておく必要がある。

西洋外交史とのセット学習がお勧め。

ヨーロッパ政治史

アメリカ政治史

  • 学習量  ★★★★★
  • レポート ★★★★★
  • 試験 ★★★★☆

2021年度までに関しては、法乙専門科目の中で最大の地雷と言っても過言ではない。他に選択肢があるなら、他の科目を選択すべし。よほど時間があるか、アメリカ政治史を積極的に履修する必然性がある人以外は、全くお勧めできない。 理由としては、レポート課題の範囲がかなり広く、テーマも漠然としている上に、専門書や論文に依らなければ導き出せないような高度な内容を要求されるためである。殆どの学生が討ち死にしているが、僅かに合格した人の話で共通しているのは、「卍以下で合格した人はいない」、「履修要項で触れられている参考文献だけで合格した人はいない」、「一発で合格した人はいない」という点である。

科目試験は、レポートほどではないが、やはり相当難易度は高い。「広く浅く」ではA以上の評価は期待できない。「広く深い」知識が必要である。

ロシアの政治

現代中国論

  • 学習量  ★★★★☆
  • レポート ★★★★☆
  • 試験 ★★★★☆(代替レポート)

法乙の人気科目なのか、履修者が多数いる。指定テキスト「現代中国政治 グローバル・パワーの肖像」は重量感がある上に中国共産党の歴史に記述が偏っており、初学だとちょっと辛い。毛沢東を毛と略すので「毛の支配」「揺れ動く毛」「毛の位置の変化」「毛の死」「毛の滅亡」などとても気になる記述になっている。レポート課題は「テキストを批判的に読み込み、課題と真摯に向き合い、自分の言葉で記述」することが要求される。テーマも漠然としていて、論証の流れはほぼ全部自分で組み立てなければならず大変。しかも手書き。でも採点講評は優しい。ありがたいです。

  • 2021年からweb提出科目になり、課題は具体的になった。

日本は反中思想が席捲していて、まともな入門書を探すのが大変。「現代中国を知るための52章」が読みやすく手頃だった。参考書籍の「現代中国政治研究ハンドブック」はやや難しいが、分析の方法論を知るために有用なので、レポート執筆時にかなり参考にした。

2021年4月試験代替レポートは教科書とあまり関係ない話題で、興味を持って視野を広げてもらおうという意図が見えた。答えるのは大変。評価は極めてやさしいので、レポート・試験ともに努力が直接反映されるやりがいのある科目といえる。

日本外交史Ⅰ

日本外交史Ⅱ

西洋外交史

  • 学習量  ★★★☆☆
  • レポート ★★☆☆☆
  • 試験 ★★★☆☆

日本政治史の学習範囲と大体同じ時代を西洋側の視点で学ぶ。但し、レポート課題はテキストで触れられていない時代から出題されることもあるので要注意。 どのような課題でも、特に指定がなければ、日本史が得意な人は日本視点で、西洋史が得意な人は西洋からの視点で、中国史が得意な人は中国から視点で、課題から外れない範囲内で自由に論じていけば合格は頂ける。従って、お勧めの参考文献も、得意な観点から選んでいけば良い。

科目試験は、用語の説明といういうよりは、ある事象や事件に関するストーリーや背景を論じていくような課題が出されることが多いため、第一次世界大戦~東西冷戦あたりの歴史の流れを充分に把握しておくことが必須。採点は甘め。

日本政治史とのセット学習がお勧め。

政治思想史

  • 学習量  ★★★★☆
  • レポート ★★★★☆
  • 試験 ★★★☆☆

Eスク政治思想論(文学部では哲学特殊)を担当されている堤林先生がテキストを執筆している。テキストとほぼ同内容と思われる一般書「政治思想史入門」が販売されており、評価は高い。

テキストには主に哲学者の書いた原典に言及する膨大な注がある。注を抜けば300Pほどで量としては多くないが、極めて密度が濃い議論が詰まっており見た目よりも読みこなすのが大変で、ページ数の倍くらいの労力が必要に感じる。適所で先生のイカしたユーモアが展開されている。だいぶ先生の感覚が入っているが、難解な用語のオンパレードである哲学の議論が感覚的に掴めるのは非常にありがたい。途中、紙面の都合上大胆にワープされている中世思想史は、通信テキスト「ヨーロッパ中世政治思想」で補完するとよい。

2021年度課題レポートはテキスト全体を貫く大きなテーマについて論じさせる。履修要領に「テキストはあくまでも素材」「持論を展開せよ」「批判的に考えよ」「思考のプロセスを記述せよ」と指定があるので、必ず守ること。思考プロセスがメインであるから、自説の補強のために若干参考文献を参照する必要はあるが、テキスト内でほぼ完結して論じることができる。ヨーロッパ思想全体を相手とするので、手ごわい。

試験代替レポートは文字数は多くないが、テキストの広範囲を対象とする実践問題が出題された。レポートと同様、持論の展開と思考のプロセスを明示できるかどうかが勝負だろう。4単位科目のためか採点は厳しめだった。

ヨーロッパ中世政治思想

  • 学習量  ★★☆☆☆
  • レポート ★★☆☆☆
  • 試験 ★★★☆☆

政治思想史テキストで大胆にワープされているところを補う、サブテキストとして使える。キリスト教と政治の関係をテーマに、西洋思想の最もコアとなっている考え方を、先生のライブ感のある表現も交えつつ(例えばP125「あるときパァーッと出てきて、ワーッと騒いで、その問題が解決されたらそれでおしまい、忘れ去られるのみ。」)丁寧に論述している隠れた名著。アウグスティヌスとかトマス・アクィナスとか名前聞いたことある!くらいの知識があればサクサク読める。テキストは短いし(138頁)、レポート課題もテキストのまとめが出題されていて、書きやすい。ただ、扱っている思想の密度はとても濃いので、全体を捉えるには量の割に時間がかかる。

マックス・ウェーバーの思想が下敷きであると明示されているため、必須ではないが『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を読んでおくとよい。宗教史がやや難解だが注を飛ばせば十分読める。キリスト教精神、とくにカトリックと比較したプロテスタンティズムの特徴と、資本主義への接続がいかになされたのかがダイナミックに伝わってくる。特に後半は楽しく、「中世の後」を知りたいなら読むべき。

科目試験においては過去問・研究課題にもない論点が出題されることがある。テキストの広範な理解が問われる。


ヨーロッパ中世政治思想の代替レポは手書きでした。書き写すだけで2時間ぐらいかかります。評価は比較的甘いようです。

コミュニケーション論

  • 学習量  ★★★★☆
  • レポート ★★☆☆☆
  • 試験 ★★★☆☆

マス・コミについて学ぶのではなく、「コミュケーションとは何ぞや」という内容である。その中で一部マス・コミについても触れられている。 レポートについては、毎年ほぼ同じ内容の課題が出されているようである。自分が興味を持った最近の政治的・経済的・社会的出来事について、テキストで学んだ知識を用いて論じていくスタイルである。従って、興味のある出来事とそれに関する文献のチョイスがキモになる。幾ら興味がある出来事でも、ニッチ過ぎて参考文献が存在しないようなジャンルでは、レポ作成は困難。王道を行けば良いと思われる。採点は甘め。ダメ出しするというよりは、良いところを褒めて下さるスタイル。

科目試験は、一転して政治色が強くなる「傾向」が続いている。あくまでも傾向なので、次の科目試験で全く趣が異なる出題になる可能性もある。どちらにしても、テキストの知識をベースにして、政治や社会の時事問題についても幅広く知識を吸収しておくと対応しやすくなりそうである。採点はやや辛め。

テキストは抽象的な表現が多いため、スクーリング科目のマス・コミュニケーション論と併せて履修すると、理解がかなり深まることは間違いない。

経済原論(ミクロ経済学)(J)

経済学部「経済原論(ミクロ経済学)(E)」参照

  • 学習量  ★★★☆☆(数学力に左右される)
  • レポート ★☆☆☆☆(数学力に左右される)
  • 試験 ★★☆☆☆

中学や高校で習う需要曲線や供給曲線はなぜあの形なのか、消費者と生産者の行動を分析することから導出したり、市場均衡、独占の弊害などを通じて市場の効率性がいかにして達成されるかを学ぶ。

強調してもしきれないのは数学の重要性である。経済学は数学を道具として使いモデルを作成し現実を説明する。そこで使われている数学の意味が分からなければ、経済学の理解はほぼ不可能であると言っていい。特に微分(高校数II・IIIの範囲はもちろん、大学教養の偏微分まで修得していることが望ましい)や数列(n項やk項の要素を並べる感覚と、Σ記号)の考え方は必須。テキスト2.9に若干の数学付録があるが、数学初学者がこれだけで理解するのは無理である。

経済学部の方の解説でも触れられている参考書、神取道宏『ミクロ経済学の力』はぜひ読むべきである。通信テキストをさらに詳しく解説し、要所要所で「なぜその式を使うのか?」「なんでそんな分析をするのか?」に的確に答えてくれる優れた教科書である。数学を使ったモデルによって現実を巧みに説明していく様子は感動すること間違いなし。

レポートはテキストの例題とほぼ同じで、数学的に解くこと自体は簡単。しかし履修要領に様々な注意書きがあり、単なる丸写しは排除される仕組みになっていると思われる。web提出する場合は、2021年より導入された慶應IDを使って、デスクトップ版wordをインストールすれば数式が書ける。LaTeX形式の入力も可能。数式がメインとなるが、用語の意味や前提・結論の区別に注意しつつレポートとしての体裁を整えれば十分合格できる。

試験代替レポートはそれなりの文字数が要求されるが、テキストを理解していれば難解ではない。採点も甘め。

youtubeに石川秀樹先生の「速習!ミクロ経済学」の無料動画が存在する。30時間以上に及ぶ大講義で、初学者は見る価値がある(私もいずれ見ます)。

経済原論(マクロ経済学)(J)

経済学部「経済原論(マクロ経済学)(E)」参照

  • 学習量  ★★★★☆
  • レポート ★★★☆☆
  • 試験 ★★★★☆(代替レポート、評価が厳しい)

ミクロ経済学が主に価格の決定を取り扱うのに対して、マクロ経済学では価格の総和としてのGDPや景気変動、インフレ率との関係、財政・金融政策などを取り扱う。

ミクロ経済学と比べると、扱う数学は無限等比級数の和くらいで、あとは連立方程式を解くだけのことが多く高度ではない。しかし変数の数がとても多く、いま何に対する式を扱っているのか把握するのが大変。テキストに登場する式は、必ず、変数が何を指しているのかを一々チェックしながら読み進めないと、理解が難しい。

参考書は二神・堀『マクロ経済学』を使用したが内容がかなり高度で、また、基礎よりも最新の理論を多数紹介する感じの教科書だったので、初学者には向かない。通信テキストを何度も繰り返し読むのが、レポート・試験対策には有効と思われる。通信テキストが難しければ、経済学部の方のレビューで言及されている参考書を読むのがよい。

レポートはマクロモデルの説明をするために式やグラフを使うことが必須である。wordを使った数式表現に慣れるのによい。履修要領にあるように、変数にはすべて説明をつけること、用語を正しく使用することに気を付けながら書けば、自然と4000字程度になる。

用語の解説が足りなかったり、レポートの体裁が整っていないと容赦なく不合格となるが、非常に丁寧な添削をしていただけるので、5回以上の再提出になった方は今のところ見たことがない。これを書いている人は、1回目で「レポートになっていない」などボロボロに講評されたものの、指摘された点をすべて修正することで、2回目で合格できた。

試験は優秀な慶應通信経済学部twitter勢の皆さんが挑んでも、合格率30%程度の超難関。経済学部生は最初に履修するので何度もチャレンジできるが、配本が最終年度の法学部生には荷が重いと思われる。2021年10月代替レポートは一見簡単な問題であったが、減点法と思われ、手練れのtwitter慶友会の半数が落第になった。

ミクロ経済学と同様、石川秀樹先生の「速習!マクロ経済学」の動画が存在する。わかりやすそうである。

財政論(J)

経済学部「財政論(E)」参照

金融論(J)

経済学部「金融論(E)」参照

経済政策学(J)

経済学部「経済政策学(E)」参照

社会政策(J)

経済学部「社会政策(E)」参照

社会保障論(J)

経済学部「社会保障論(E)」参照

都市社会学(J)

→→文学部「都市社会学(L)」〈第1類〉および文学部「都市社会学(L)」〈第2類〉および経済学部「都市社会学(E)」参照

人文地理学(J)

文学部「人文地理学(L)」および経済学部「人文地理学(E)」参照

地理学Ⅰ(J)

文学部「地理学(L)」および経済学部「地理学Ⅰ(E)」参照

レポートの採点はとても優しい。2019年度の課題は教科書があれば前半部分はほとんど書けてしまう。後半の国際分業の事例についてはネットや本で探せばいくらでも見つかる。

地理学Ⅱ(地誌学)(J)

文学部「地理学Ⅱ(地誌学)(L)」および経済学部「地理学Ⅱ(地誌学)(E)」参照

レポートの課題も採点も優しい。2021年度の課題は、高校の地理で教わった内容と似ている。参考文献として、新聞記事も使用すると良いと思う。 また、これだけが原因でレポート不備になることはないようだが「レポートを作成する際は、表紙をつける習慣をつけてください。教員は、膨大なレポートを採点しています。他の学生のレポートに紛れる可能性もありますので、学籍番号と氏名は最低限記載するように。」との指摘あり。

経営学(J)

経済学部「経営学(E)」参照

会計学(J)

経済学部「会計学(E)」参照

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